『マリス博士の奇想天外な人生』

疑わしい科学者

科学は天のお告げではない。もちろん(現代の諸)問題のうち、いくつかは容易には実証できないこともある。だが、それは日常レベルの感覚では容易でないということにすぎず、仮説の当否を判断する上で、何かの実験方法は必ずあるのだ。もしそのような検証ができないのなら、科学者はその問題についてあれこれ主張すべきではない。

ニュートンなら、どこかの科学者が王立科学協会内で、飽和脂肪酸と心臓病の関係について軽々しく論じることを決して許しはしないだろう。なぜならわれわれが日々耳にする栄養と健康の関係はすべてが推測によるものであり、さらなる研究が待たれている問題であり、おそらくは将来にわたっても検証されることがない問題だからである。

地球環境はこのままだとたいへんなことになり、それらの変化はみな、人間の諸活動がもたらしたものであると声高に主張してやまない学者がいる。彼らはきわめて疑わしい。もうテレビを消したまえ。そして小学校の理科の教科書をもう一度開いてみよ。科学者たちが何をたくらんでいるのか見破る必要がある。個人は自分で考える必要がある。幸いなことに、科学者たちは着替えたり、その行動パターンを変えるのを好まない。彼らは昔ながらの白衣をまとい、重労働はできるかぎりしない。だから簡単に見分けがつく。

(キャリー・マリス著・福岡伸一訳『マリス博士の奇想天外な人生』早川書房、2000年)

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